日本イラストレーター協会

 第13回インターナショナル・イラストレーション・コンペティション総評

 イラストの公募展2012年度の第13回インターナショナル・イラストレーション・イラストレーションの入選作品の発表です。

 |受賞者一覧|

 審査方法

審査員は、IT企業代表、アートグループ運営者、商業美術コンシェルジェ代表、そして日本イラストレーター協会副理事長および会長の計5名で構成しました。
各審査員が1番いいと思う作家1名に対して10ポイント入れ、以下7ポイント、5ポイント、3ポイント、1ポイントを各10名程度づつ選び入れました。
エントリーポイントと審査ポイントを合計して、獲得したポイント数が多い作家48名を入選候補にノミネートされた作家として、ウエブにアップしました。
各作家のページにfacebookの「いいね!」ボタン、mixiの「イイネ!」ボタンを設置し、ボタンが押された回数1回に対して1ポイントづつ加算して、もう一度集計して最終的に各賞を決めました。


 全体評

 長尾洋平(RoughStone代表)

今回は前回とは違い、データでの審査を体験させていただきました。
日数も充分に与えられましたので、前回とは異なり直感よりも作品の精度をジックリと拝見することができました。
その中でも上位の評価をさせていただいた方は、パッと見てもジックリ見ても良い方を選ばせていただきました。
線1本からでもこだわりを感じる方が多く、好みの表現でなくてもつい良い評価をさせていただいた方も多く、JIA全体の実力の高さに驚かされました。
今回与えられたサイズから見ると、やはりデジタルよりアナログな手法の方に表現力の豊かさを感じました。
今回もありがとうございました。

 芦田麻有美(ミラージュ株式会社 代表取締役)

モノクロで、繊細な筆致をセンスよくまとめた作品が多いと感じました。
個性的で独創的な、作家性をうまく表現した作品も多く、題材選び、キャラクターの作成能力など、才能あふれる作家様の作品を拝見できて、大変勉強になりました。
これからのご活躍を楽しみにしております。

 朝山隆(商業美術コンシェルジュ代表)

イラストの専門家ではありませんが、他分野からの視点で審査しました。
毎日作品を見て、構成、画力、色彩、空間感、ストーリー性、独自性、技法、商業性など、多角的に評価したつもりです。
とても良い画風だが、マーケットに合わないや、その逆もありました。
個人的には上位で争える作品が少なかったように感じましたが、大変興味深く、また楽しく審査できました。
これを機にますます精進してください。
このような機会を与えてくださいました、蟹江会長にも感謝申し上げます。
有難うございました。

 内野僚子(日本イラストレーター協会 副理事長)

初めてこのコンペの審査をさせていただくことになりました。
今回は、私自身のイラストレーターとしての概念を取払い、一般の方々(ユーザー)の立場になっての審査を試みました。
そうする事で、作品の印象や個性を感慨深く、素直に受け止める事ができました。
レベルは高く、目を見張る程の作品が多かったように思えます。
全体的に個性的なものより、明るく平和な絵が多く見受けられました。
今の世相を考えてのプロの作品に絞られていたせいでしょうか。
手描きの作品は筆タッチを生かした素晴らしい動きと、デジタルの作品は光と影の絶妙なバランスを駆使された作品が心に留まりました。
立体は写真で観ると弱い感じもありますが、イラストを添えて下さると印象が倍増されると思いました。
殆どが素晴らしい作品であり、選出に時間がかかりましたが、とても楽しい世界を経験させて頂きました。
これからも、沢山のイラストレーターの個性や才能がユーザーの目に留りますよう願っています。
ありがとうございました。

 蟹江隆広(日本イラストレーター協会 会長)

出品者数282人、出品作品総点数349点、昨年と比べて少し増えました。
インターネットによる広報活動を積極的に行った結果だと思います。
しかし日本で最も権威のあるイラストレーションのコンペティションとしては、まだまだ応募者が少ないです。
今後、さらに広報活動を強化していく必要があります。
今年で13回目の開催になりましたが、今回からデータで応募することにしました。
デジタルカメラやスマートフォンなどで簡単に撮影できるようになりましたから、手描きの作品でも気軽にデータ化できるようになりました。
実際の仕事の現場においては、全ての仕事の9割程度はデータ納品になってきたという現実があります。
その現実をふまえ、プロのイラストレーターとして仕事を続けていく為には、データに対する知識が必要で、求められるデータを作るという技術が不可欠になってきました。
普段からデータ納品に慣れているプロのイラストレーターにとっては、気軽に応募できるようになったのではないかと思います。
その分全体のレベルは上がったかなと思います。
海外に向けての広報活動も行なっておりますが、海外からの応募はまだまだ少ないです。
PayPalによる支払いができるようになって、銀行間での送金手数料が出品料よりも高いという問題も解消されましたので、今後さらに海外からの参加も増えていくことを期待します。
またFacebookやmixiなどのSNSと連動し、一般の人達の意見を取り入れるという新しい試みもしました。
いろいろ改善点もあるかと思いますが、他のコンペなどでよく見られる審査員だけの意見に偏ることなく、より公平な審査ができたのでは、と思っております。


 審査員略歴

 長尾洋平

RoughStoneというアートグループの運営者。
クリエーターの発表の場を作るため、東京を中心に企画展・個展を企画。
日本のアーティストの発表の場を更に拡大を目指し現在は海外でも展示会を開催しております。
また、ポストカードコンテストという、日本では最大規模のポストカードサイズのコンペを開催し、公平かつトレンドの確認のため一般投票のみによる受賞者選出するコンペも運営しております。
http://rough-stone.com/

 芦田麻有美

デザイン会社にてグラフィック・Webデザイナーとして勤務。
ITベンチャーにてWebプロデューサーとして勤務。
現在ミラージュ株式会社 代表取締役。
電子書籍ソリューション、Androidアプリ企画開発を行う。
http://www.mirage-c.com/

 朝山隆

兵庫県西宮市出身。
1963年生まれ。
東京造形大学 中退。
武蔵野美術大学 大学院修了。
家具メーカー勤務後、武蔵野美術大学他、専門学校等で講師をするかたわら、日本で初めての家具デザイン専門のスクール(木工教室)を開講。
日 本インテリア学会 IC東京会員。
大学院修了制作優秀賞 海南市デザインコンペ、暮らしの中の木の椅子展など入賞多数。
テレビラジオ出演、雑誌掲載多数。
近年は絵画や彫刻、イラスト、絵本を主体とした新ビジネス「商業美術コンシェルジュ」を設立しました。
http://www.kaguken.com/

 内野僚子

武蔵野美術大学工芸デザイン科卒業。
川島織物テキスタイルスクール京都校ドビー織科卒業。
ミサワホームインテリアスクール17期生。
2000年米国テネシー州にてCDA(デコラティブペインティングアーティスト)取得。
テキスタイル・雑貨デザイナーを経て2007年よりイラストレーターとなる。
http://ryoko-uchino.jimdo.com/

 蟹江隆広

1955年 岐阜県多治見市に生まれる
1977年 関西大学工学部を4年で中退後渡米、サンフランシスコで2年間遊学
1981年 4月東京デザイナー学院入学
1983年 4月レベル工房入社(エアーブラシの会社)
1985年 レベル工房退社後フリー
1987年 (株)シュガー入社(イラストの会社)
1987年 日刊工業新聞広告賞金賞受賞
1988年 日刊工業新聞広告賞金賞受賞
1989年 日刊工業新聞広告賞銀賞受賞
1989年 (株)シュガー退社後再びフリー
1990年 (有)クレア設立(イラストの会社)後に(株)クレアに組織変更
1999年 日本イラストレーター協会設立
2004年 (株)クレアの代表取締役を降りる
2006年 200 Best Illustrators Worldwide 2006 選考委員
2007年 Society of illustrators U.S.A.会員に認定される
2007年 200 Best Illustrators Worldwide 07/08 選考委員
2008年 ZEN展優秀賞受賞
2009年 200 Best Illustrators Worldwide 09/10 選考委員
2010年 200 Best Illustrators Worldwide 11/12 選考委員
http://www.maroon.dti.ne.jp/kanie/


|受賞者一覧|