日本イラストレーター協会

JIA Illustration Award 2018 総評

イラストの公募展 "JIA Illustration Award 2018" の入選作品の発表です。

|受賞者一覧|

審査方法

審査員は二科会デザイン部会員ブックデザイナー二科会デザイン部会友版画家日本イラストレーター協会会長の計5名で構成しました。
各審査員に対して持ち点が与えられ、最もいいと思う作家1名に対して50ポイント、次にいいと思う作家3名に30ポイント、特に優れていると思う作家10名に10ポイント、優れていると思う作家30名に5ポイントを入れました。
5名の審査員が入れたポイントを合計して、獲得したポイント数が多い作家の順に各賞の受賞者を決めました。

全体評


小林正直(二科会デザイン部会員)

こういったアワードを行うと傾向というものがあるものですが、それも見られず、様々な手法や表現方法が集まったのは審査以前に、いち鑑賞者として楽しめました。
応募された方はどういう人なのか一切知らされることなく審査しました。
だからプロを目指しているのかわかりませんが、イラストレーターを目指すのであれば普段からもっと描いて欲しいなぁと思いました。
そう思った原因は1枚しか出さない人、または複数枚出している人も一枚は精魂込めても他のが手抜きな人、あるいはこのアワードだけでなく同じ作品を別のアワードへも出品している人など、特に最後のを具体的にいうと私の所属する二科会デザイン部の審査で同じ作品を見ました。
入賞はしていなかったので一応黙認します。
これらの事は普段から描いていれば、そういうことは防げるでしょう。
それに枚数を描けば自然と上手くなるので、自信もついてきます。
プロは1日に何枚もこなしますからね。
目指すならそれくらいのことはしないとと思います。
とはいえ、全体的には良い作品が多かったので皆さんこのまま努力されればと思います。
そして絵を描く楽しさをより多くの人に伝えてもらえればと切に思います。
グランプリを取られた作品は私も最高点をつけた作品なので私も満足しております。


田中淑恵(ブックデザイナー)

リアルなものからほのぼのした童話風のものまで、さまざまな画風があって、それぞれに技法、構図、展開など、教えられるところが多々ありました。
巧い絵はたくさんありますので、そこからひとひねりのあるものが眼を惹きます。
ただ、奇抜であればいいというものではないので、基本のデッサンを しっかり確立しながら、画材、表現方法、世界観、色彩など、ふたつとない独自の世界を構築していってほしいと思います。


増本大二郎(二科会デザイン部会友)

この度、多彩な多くの才能に僭越ながら審査員の一人として接する機会を賜りました事に心より感謝御礼申し上げます。
国内外から、非常にレベルの高い作品が数多く出品されており、審査を行わせて頂く上で頭を悩ませることも少なくありませんでした。
あらゆる分野において天与の才能を自覚し更に大きく開花させる為の努力と精進を惜しまぬ人の姿勢は外側に居る人間にも多大な激励となり夢と勇気を与えてくれます。
絵画やイラストの世界に目を転じれば、現在歴史的巨匠と称される作家達の生き様は無限の可能性を教示しています。
今回審査員として貴重な作品に向き合わせて戴き高レベルの個性的な多くの秀作に出会い、審査する事の難しさを痛感しながらも感動の連続でした。
繊細なタッチが魅力的なイラスト作品、アート性の強い作品、個性的なキャラクターが画面の中で躍動しているファンタジー作品、CDジャケットや小説の表紙などにその儘使えそうな作品等、どの出品作品も極めて完成度が高く、アーティストの皆様の"JIA Ilustration Award 2018"にかける思いがひしひしと伝わって参りました。
私は主にコンピューターを用いてデザイン作品を制作しておりますが、今回の"JIA Ilustration Award 2018"では空間構成の見事な、所謂(いわゆる)、デザイン力の高い作品も多かった気が致します。
又、色彩を抑えたモノトーン調の作品も数多く出品されておりました。展示会やアートイベント等で大変な人気を獲得しそうなアーティストの方も数多くいらっしゃいました。
この度、御縁あって拝見させて戴いた作品の中に私の鑑識不足、眼力不足で宿才を見誤ってしまった作品もあったであろうと心痛みます。
ただ、出品作品全てが至る場所で陽の当たる未来の財である事は申す迄もありません。
揺るがぬ研鎮の歩みをこれからも持続して頂ければ幸いに存じます。
私自身も応募された珠玉の作品群から甚大なパワーを賜りました。
謹んで感謝を申し上げますと共に"JIA Ilustration Award 2018"に出品されました皆様方の今後益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。


山本さと子 (版画家)

バラエティに富んだ素敵な候補者さんが集結し、審査をする立場としてとても楽しませていただいた今回のアワードでした。
今年は特に国際的なイラストレーターさんが集まり、結果もとても華やかなメンバーで発表となったと感じます。
アメリカに住んで5年となりますが、今もこちらでジャパンのイラストやアニメの人気は絶えません。
国際的なアートの交流の懸け橋として、微力ながらこれからも皆様のお手伝いをさせていただければと身の引き締まる思いで審査させていただきました。
受賞者の皆様、おめでとうございます。
今回の受賞をきっかけに、これからも夢に向かってアートの活動をがんばってください。


蟹江 隆広(日本イラストレーター協会 会長)

応募者数274名、作品数594点、昨年と同程度の応募数でした。
日本人が少し減り、海外からの応募が少し増えました。
日本165人、台湾33人、香港14人、アメリカ11人、ロシア10人、オーストラリア4人、マレーシア4人、スペイン3人、チェコ3人、中国2人、イタリア2人、メキシコ2人、韓国2人、イギリス2人、ポルトガル2人、ブラジル1人、ドイツ1人、ウクライナ1人、クロアチア1人、デンマーク1人、スロベニア1人、カナダ1人、シンガポール1人、フィンランド1人、ハンガリー1人、リトアニア1人、ポーランド1人、など非常に多くの国の方達からご応募いただきました。
ますます世界中から注目されるイラストのコンペになってきましたので、このコンペで入賞するということは、世界中の方達から注目されるということです。
日本のイラストレーターにとっては世界に羽ばたくチャンスにもなるでしょうし、海外のイラストレーターにとっては日本の仕事を獲得するチャンスになるでしょう。
これからもますます日本と海外をつなぐ橋渡しができれば幸いです。

審査員略歴


小林正直(二科会デザイン部会員)

1964年 10月1日 生まれ  
1987年 大阪芸術大学 芸術学部 工芸学科 テキスタイルデザイン科 卒業
2003年 第88回二科展デザイン部 入選 以後6回入選 
2004年 おおしま手づくり絵本コンクール2004〈春の部〉奨励賞
     ARTBOX大賞展 入選
2007年 第92回二科展デザイン部 特選賞 
2008年 ポストカードブック「エンジェルプラネット」 出版
2009年 第13回二科会埼玉支部展 埼玉県知事賞
     第7回 中札内村 北の大地ビエンナーレ 佳作 賞候補
     第4回信州伊那高遠の四季展 秀作賞
2010年 第15回 2009公募:ふるさと風景展 大賞
2013年 第17回 埼玉二科展 絵画部 埼玉県知事賞
2016年 第3回 公募 日本の絵画2016 佳作賞 横浜グランド インターコンチネンタル ホテル買取り 所蔵


田中淑恵(ブックデザイナー)

東京生まれ、武蔵野美術大学卒。
文化出版局を経て、フリーの装丁家になる。
14歳の時、初めてハイネ詩集の豆本を作る。色変わりのインクで手製詩集を作っていた立原道造の「人魚書房」を真似て、高校生のとき、手製本の架空の版元「鏡書房」を設立。
東京堂書店で手にした、フロベールの「愛書狂」の豆本の案内が気になったまま、美大に入学すると、その訳者で書物研究家の庄司浅水先生の講義があり、ケルムスコットプレス刊本、秘蔵のパーチメントなどを拝見する。
立原ゆかりの地、信濃追分に季節ごとに通ううちに、かの地に山荘のあった作家の福永武彦氏と知遇を得る。
同時期、藤枝の現代豆本館を訪ね、医師で「静岡豆本」の版元だった小笠原淳館長と出会う。
学生時代、友人の詩集100部製作したのが最初で、次は入社した出版社の労働組合の記念誌であった。
退職後、絵本、童話、小説、エッセイ、写真集、画集、詩集、歌集、句集など、さまざまなジャンルの装丁をてがける。
おもな装丁書に『リルケとヴァレリー』『愛しすぎる女たち』『結城信一全集』『ダレン・シャン』シリーズなど多数。
角川書店のPR誌「本の旅人」を創刊から10年担当する。
著書に『自分で作る小さな本』2002『私だけの一冊を作る』2004(ともに文化出版局)『水絵具の村一一信濃追分旅のモザイク』1981(新書館)『本の夢 小さな夢の本』2015(芸術新聞社)活版詩集『ミモザの薬』1989(鏡書房)詩集『若三日月は耳朶のほころび』2018(東京四季出版)などがある。

● 神保町檜画廊個展(初めての豆本と装丁展)1989年
● 毎日ギャラリー個展 1996年
● 王子ペーパーギャラリー銀座個展 2000年
● 銀座ポーラミュージアムアネックス「本の仕立屋さん」展 2006年
● 青山スパイラルガーデン「ムサビズム展」2013年
● 神保町檜画廊個展 2013年
● ムサビオープンセミナー、三越カルチャーサロン、朝日カルチャーセンター、産経学園などで、豆本のワークショップを随時開催。
○ 「詩とメルヘン」短篇メルヘン賞受賞 1979年
○ 寺山修司選による第3回フォアレディ—ス賞受賞 1980年

FB https://www.facebook.com/yoshie.tanaka.3532
FBミニチュアブックと物語 https://www.facebook.com/tanakatyoshie/
ブログ:本の夢 夢の豆本 http://d.hatena.ne.jp/yt076543/


増本大二郎(二科会デザイン部会友)

一般社団法人二科会デザイン部会友(福岡支部代行)
日本イラストレーター協会(JIA)会員
福岡県美術協会デザイン部会員
福岡市美術連盟デザイン部理事
※H27~29年度 博多区文化芸術展デザイン部門 審査員
※H30年度 福岡県展グラフィックデザイン部門 審査員(内定)
JIA Illustration Award 2015 優秀賞
日本自動車会館交通安全キャンペーン・ポスター・デザインコンテスト 最優秀賞
ASIA DIGITAL ART AWARD 2016 優秀賞
GEISAI#10 GAINAX(元エヴァンゲリオン制作会社)スカウト審査員賞
二科展デザイン部 奨励賞(第90回)&福岡展西日本新聞社賞
二科展デザイン部 特選賞(第91回/第92回) 第94回会友推挙
二科展デザイン部 会友賞(第98回/第99回)
第5回青木繁記念大賞西日本美術展初出品入選
第156回全国公募日図展(京都)東京織物卸商業組合賞受賞
第68回福岡県展 福岡文化財団賞、第71回福岡県展 朝日新聞社賞
大野城市美術展(まどかぴあ)市長賞
第67回福岡県展 奨励賞、筑後市美術展 奨励賞
NHK 青春メッセージ福岡県代表(番組内で作品の紹介)
NHK BSⅱ第7回詩のボクシング全国大会ベスト4(番組内で作品の紹介)
TV東京 ふるさとのど自慢出場、全国公募アート書道論準グランプリ
画箋堂絵手紙コンクール準グランプリ、ASIAGRAPH2017初出品入選
全国公募 鬼の絵コンテスト奨励賞、招き猫コンクール入選
城南区アート展大賞区長賞、南風の生活文化展賞候補
京都府日本の鬼の交流博物館にて 2000年、2007年特別展開催
ASIA DIGITAL ART AWARD 2014,15,17入賞
エルガーラホール、アクロス福岡1階ホールで個展
Peco’s Shoyu-ya、STUDIO Mのロゴ福岡市美術連盟ポスター制作他
http://nikafuku.sakura.ne.jp/dro/


山本さと子 (版画家)

東京都目黒区出身、日本女子大学卒業。ニューヨーク在住。
不動産営業勤務、損害保険会社勤務を経て拠点をアメリカに移す。
コロンビア大学American Language Program修了。
2015年、全米アート学生を対象としたプリントメーキングコンペティティションNew Impressions にてニューヨークのアート学生として唯一受賞。
3月には全米最大規模の版画展示会SGCI(the Southern Graphics Conference International)に作品が展示される。
2016年日本イラストレーター協会インターナショナルアワード入選。
アーティストとしての功績を認められ、ニューヨークにて製紙機材を持つファインアートペーパーカンパニーDieu Donnéにてギャラリストとしてインターンシップを修了する。
ペーパーメーキング及び版画作品を中心に、現在The Tolman Collection 、Agora Galleryにて作品を取り扱われる。
ARTmineにて作品の購入が可能。
Chicago Antique + Art + Design Show、The Affordable Art Fairなど多くの全米アートフェアに作品が取り扱われる。
主な技法はペーパーメーキング、版画(木版、エッチング、モノタイプ、シルクスクリーン)水彩、アクリルガッシュ。現在も国内外で幅広く活躍する。
https://www.satocoyamamoto.com/


蟹江 隆広(日本イラストレーター協会 会長)

1977年 関西大学工学部を4年で中退後渡米、サンフランシスコで2年間遊学
1981年 東京デザイナー学院入学
1983年 レベル工房入社(エアーブラシの会社)
1985年 レベル工房退社後フリー
1987年 (株)シュガー入社(イラストの会社)
1987年 日刊工業新聞広告賞金賞受賞
1988年 日刊工業新聞広告賞金賞受賞
1989年 日刊工業新聞広告賞銀賞受賞
1989年 (株)シュガー退社後再びフリー
1990年 (有)クレア設立(イラストの会社)後に(株)クレアに組織変更
1999年 日本イラストレーター協会設立
2004年 (株)クレアの代表取締役を降りる
2006年 200 Best Illustrators Worldwide 2006 選考委員
2007年 Society of illustrators U.S.A.会員に認定される
2007年 200 Best Illustrators Worldwide 07/08 選考委員
2008年 ZEN展(東京都立美術館)優秀賞受賞
2009年 200 Best Illustrators Worldwide 09/10 選考委員
2010年 200 Best Illustrators Worldwide 11/12 選考委員
http://www.maroon.dti.ne.jp/kanie/


|受賞者一覧|