日本イラストレーター協会

JIA Illustration Award 2020 総評

イラストの公募展 "JIA Illustration Award 2020" の受賞作品の発表です。

|受賞者一覧|

審査方法

審査員は、イタリアのイラストレーターSara Ugolotti氏エルサルバドルのグラフィツクデザイナー兼イラストレーターMale Cuellar氏アメリカのコンセプトアーティストSteve Argyle氏アーティストで一般社団法人二科会デザイン部会員の増本大二郎氏日本イラストレーター協会会長 蟹江隆広氏の計5名で構成しました。
各審査員に対して持ち点が与えられ、最もいいと思う作家1名に対して50ポイント、次にいいと思う作家3名に30ポイント、特に優れていると思う作家10名に10ポイント、優れていると思う作家30名に5ポイントを入れました。
5名の審査員が入れたポイントを合計して、獲得したポイント数が多い作家の順に各賞の受賞者を決めました。

全体評


Sara Ugolotti (Illustrator in Italy)

It is my first time of judging in a competition and it's a great honour to see how many excellent works were submitted.
It has been really hard to choose one artist over another due to the great diversity of styles, languages and culture.
I’d like to congratulate to all the winners but i also like to say to the artists who didn’t make the goal to don’t give up and to keep in mind this occasion to do better and better.


Male Cuellar (Graphic designer & illustrator in El Salvador)

I feel honored to be part of this important competition in Japan.
It is amazing to see all the different styles and techniques from different parts of the globe.
It is also interesting to see the different elements that inspire artists from the world.
The quality of the work made it difficult to select just a few works.
Congratulations to all the winners and continue doing what brings you passion!


Steve Argyle (Concept artist in USA)

I was very impressed with the deep narrative that was expressed in so many of the entries.
Just creating good artwork is hard enough, but a lot of these artists also created a genuine emotional moment with their work.
I loved the variety of styles presented, all of which were clever and well-executed.
Many of the series entries told stories all on their own, engaging me as a viewer and intriguing me to know more.
Great work and congratulations to everyone who entered, it was tough to pick winners among so many fine works.
Thank you!


増本大二郎 (アートディレクター&コンサル)

この度、世界的な注目を集める"JIA Illustration Award 2020"の審査員という重責ある大役を仰せつかったこと大変光栄に感じております。
一昨年に引き続き、審査に臨ませて頂きましたが、今回も世界中の様々な地域から多くの才能が作品として来訪してくれました。
一点一点いずれの作品にも作者の情熱と作品への愛情が満ちており、先ずは審査の前に襟を正して正座する思いで接しました。
コロナ問題というかつて経験をしたのことのない暗雲が世界全体を覆い、アートイベントをはじめ各分野のライブ等も控えねばならず、作品発表もままならない状況は今も尚続いておりますが、"JIA Illustration Award 2020"に出品された作品はこうした荒波に負けない力強さを持っているように感じました。
無骨なタッチと繊細な色彩センスが共存したイラスト、木版画タッチの豪快な作品、ほのぼのとした世界観ですぐにでも絵本や童画に使えそうな作品、最新の3次元コンピュータグラフィックスを駆使したCGアートなど甲乙つけ難い優れた作品が眼前に広がり、審査にかなりの時間を要しました。
審査をさせて頂くにあたってアート性、独自性、テーマ性、時代性、カラーバランス、空間の構成等総合的に見させて頂きました。
特にオリジナリティの高い作品や可能性(伸びしろ)を感じさせる作品は高く評価させて頂いております。
審査基準は審査員によって相違や差異が生じるものであり、残念ながら審査員としての力及ばず、作品達の声を聞き逃してしまったものもあるのではなかろうかと思います。
けれども懸命の作品は必ず誰かの目に留まります。
どうか今後も精進の歩みを続けて頂きたく存じます。
バイタリティ溢れる多彩多様な作家と作品群に出会えた喜びは何にも変え難いものです。
大きな勇気と愛を賜りました事を心から感謝御礼申し上げます。
私自身も大変勉強になりました。刺激を頂きました。
様々な作品がシンフォニーのようにときめく音楽を奏でてくれました。
賑やかな作品達の歓談の声が今も耳に残って離れません。
出品者の皆様方にはこれからも素敵な作品を制作して頂きますことを願っております。
益々のご活躍を心よりお祈り致します。
描画力が低くても、そうした力を秘めていると思った作家さんにポイントを入れています。
伝達するにも画力とは違う技術がいります。
配色を計算し、構図のもたらす効果を計算し、なんとなく省略するのではなく計算してデフォルメし、人物や動物の表情のある動きを計算する。
それらを考え抜いて細部まで手を抜かず描かれた作品は、見る人に伝える力が高いです。
プロに共通してることです。
現状すぐプロとして通用する人、プロへの才能を秘めている人、たくさんいました。
今後もぜひ頑張って欲しいです。
あと、高得点を狙いたい人へ、気づいたことを3つアドバイス。
(一審査員としての個人的見解です)

(1) 作風は統一した方が評価が割れないと思います。
様々なタッチや作風の違う作品で応募された場合、Aの作風は高得点をつけたいが、Bは評価ができないという場合、どう採点をするかは審査員の迷いどころで、人によって変わります。

(2) 量より質。
同じ作風でも明らかに力を抜いた作品や構図が悪い作品が混ざっていた場合、秀逸なメイン作品があるのに評価が落ちてしまう可能性があります。
複数出すとしても2~3点で力作を絞ってを出すのが良いと思います。

(3) 背景なしのカットイラストは、評価が低くなりがちです。
背景・構図があれば、世界観や表現力がグッと増します。
カットで出すより一枚絵として仕上げてあなたのストーリー性を審査員に見せつけましょう。

私の個別コメントに付きましは、皆様の今後の発展にお役に立てればと僭越ながらアドバイスも書いてますが、あくまで私の個人の見解なので、一意見として軽く受け止めていただければと。
入賞された方も、入賞に漏れてしまった方も、応募しそびれた方も、等しく皆様の今後の進化と躍進を願っております。
この度は審査員という貴重な機会をいただき 、ありがとうございました。


蟹江 隆広(日本イラストレーター協会 会長)

世界中で猛威を奮っているコロナウイルスの影響下での募集となりましたので、どうなることかと心配しましたが、結果的に過去最高の応募者数334名、作品数778点となりました。
国別の応募者数は以下の通りです。
日本168人、中国33人、台湾30人、アメリカ14人、香港13人、ロシア10人、イギリス7人、韓国5人、スペイン3人、インド3人、マレーシア2人、フランス2人、イスラエル2人、ポーランド2人、チリ2人、ベトナム2人、ブルガリア2人、ブラジル2人、メキシコ2人、タイ2人、チェコ2人、インドネシア2人、アイルランド1人、オーストリア1人、コロンビア1人、フィンランド1人、イラン1人、コロンビア1人、フィンランド1人、マカオ1人、エストニア1人、ポルトガル1人、スロベニア1人、カナダ1人、ペルー1人、シリア1人と合わせて36カ国の方達からご応募いただきました。
中国からの応募が増えましたが、国籍別なので実際には中国以外に住んでいる方も多いです。
ますます世界中から注目されるイラストレーションのコンペティションになってきましたので、このコンペで入賞するということは、世界中の方達から注目されるということです。
日本のイラストレーターにとっては世界に羽ばたくチャンスにもなるでしょうし、海外のイラストレーターにとっては日本の仕事を獲得するチャンスになるでしょう。
これからもますます日本と海外をつなぐ橋渡しができれば幸いです。

審査員略歴


Sara Ugolotti(イタリア)

Sara Ugolotti is an italian illustrator.
After obtaining a bachelor degree in Architeture she took a degree in Illustration at the International School of Comics in Reggio Emilia.
She is specialized in children’s illustration and she is represented by several major illustration’s agencies around the world.
She worked on scholastic books, picturebooks, young novel, non-fiction books, board games and puzzles and has more than 50 titles on her list published in several countries with international major publishers.
And has been awarded with several different prizes in competitions and professional shows worldwide.

Website: https://www.saraugolotti.com/

Facebook: https://www.facebook.com/SaraUgolottiIllustrator/?fref=ts

Behance: https://www.behance.net/SaraUgolotti

Instagram: https://www.instagram.com/sara_ugolotti_illustrator/?hl=it


Male Cuellar (El Salvador)

Male Cuellar is a Graphic designer and illustrator from El Salvador with a degree in Creative illustration and Visual Communication from Eina, Escola de Disseny i Art in Barcelona.
She has participated in collective and solo exhibitions in El Salvador (Iro Iro, Street Art exhibition) (Noah),  Barcelona, Los Angeles, San Francisco, Chile, Taiwan and Japan.
Some of her accomplishments are: Distinction in Bienal Iberoamericana de Diseño (Madrid) (2018) - Distinction on the Nami Island International Illustration Concours (2017) - Winner on the Taiwan International Graphic Design Award (2017).
Male is also creative director and part time teacher in Escuela de Comunicación Mónica Herrera (El Salvador).

Website: http://www.malecuellar.com

Instagram: https://www.instagram.com/malecuellar/


Steve Argyle (USA)

Steve Argyle has been an artist and illustrator for twenty years, working on everything from Star Wars to Magic the Gathering.
He is known throughout the world for his characters and creatures, rendered in a realistic and dynamic style.
Steve has worked for studios on film, television, and video games, and currently works as a freelance contractor for book covers,  games, and anywhere else awesome things need to be brought to life.

Website: https://www.steveargyle.com


増本大二郎 (二科会デザイン部会員)

日本イラストレーター協会(JIA)会員
一般社団法人二科会デザイン部会員
福岡県美術協会デザイン部会員(事務局)
JIA Illustration Award 2018 審査員
H30年度 福岡県展デザイン部門 審査員
H27~令和元年度 博多区文化芸術展デザイン部門 審査員
JIA Illustration Award 2015 優秀賞
二科展デザイン部 奨励賞(第90回)&福岡展西日本新聞社賞
二科展デザイン部 特選賞(第91回/第92回) 第94回会友推挙
二科展デザイン部 会友賞(第98回/第99回/第103回会員推挙)
二科展デザイン部 会員賞(第104回)
R-1ぐらんぷり アマチュア部門第5位(CG制作/フジテレビ)
日本自動車会館交通安全キャンペーン・ポスター・デザインコンテスト 最優秀賞
ASIA DIGITAL ART AWARD 2016 静止画部門優秀賞
ASIA DIGITAL ART AWARD 2017 静止画部門優秀賞(プロデュース作品)
ASIA DIGITAL ART AWARD 2017 静止画部門大賞(プロデュース作品)
GEISAI#10 GAINAX(元エヴァンゲリオン制作会社)スカウト審査員賞
第5回青木繁記念大賞西日本美術展初出品入選
第6回青木繁記念大賞ビエンナーレ入選
第156回全国公募日図展(京都)東京織物卸商業組合賞受賞
第68回福岡県展 福岡文化財団賞、第71回福岡県展 朝日新聞社賞
大野城市美術展(まどかぴあ)市長賞
第67回福岡県展 奨励賞、筑後市美術展 奨励賞
NHK 青春メッセージ福岡県代表(番組内で作品の紹介)
NHK BSⅱ第7回詩のボクシング全国大会ベスト4(番組内で作品の紹介)
TV東京 ふるさとのど自慢出場、全国公募アート書道論準グランプリ
京都府日本の鬼の交流博物館にて 2000年、2007年特別展開催
エルガーラホール、アクロス福岡1階ホールで個展
Peco’s Shoyu-ya、STUDIO Mのロゴ福岡市美術連盟ポスター制作他

Website: http://daijiro.sakuraweb.com/


蟹江 隆広(日本イラストレーター協会 会長)

1977年 関西大学工学部を4年で中退後渡米、サンフランシスコで2年間遊学
1981年 東京デザイナー学院入学
1983年 レベル工房入社(大日本印刷内エアーブラシの会社)
1985年 レベル工房退社後フリーのイラストレーターに
1987年 (株)シュガー入社(イラストの会社)
1987年 日刊工業新聞広告賞金賞受賞
1988年 日刊工業新聞広告賞金賞受賞
1989年 日刊工業新聞広告賞銀賞受賞
1989年 (株)シュガー退社後再びフリーに
1990年 (有)クレア設立(イラストの制作会社)後に(株)クレアに組織変更
1999年 日本イラストレーター協会設立
2004年 (株)クレアの代表取締役を降りる
2006年 200 Best Illustrators Worldwide 2006 選考委員
2007年 Society of illustrators U.S.A.会員に認定される
2007年 200 Best Illustrators Worldwide 07/08 選考委員
2008年 ZEN展(東京都立美術館)優秀賞受賞
2009年 200 Best Illustrators Worldwide 09/10 選考委員
2010年 200 Best Illustrators Worldwide 11/12 選考委員
2020年現在まで、日本イラストレーター協会の代表として数々の活動を主導

【主な仕事】
・ギャガコミュニケーションズ映画「エルム街の悪夢」ポスター
・JALパンフレット見開きイラスト多数
・三菱農機カレンダー用のイラスト6点
・JRパンフレット表1と表4
・セガ ゲームソフトパッケージ
・エニックスゲーム ソフトのポスターおよびパッケージ
・ドイツ「ラフェンスブルゲール社」ジグソーパズル2点
・セントラルホビー ジグソーパズル(海洋アート、スーパーマリオ、など多数)
・テンヨー ジグソーパズル(ディズニーなど多数)
・工学社「ウインドウズDTP」 表紙1年間12点
・単行本の表紙 多数
・科学雑誌ニュートン 見開きイラスト他多数
・CDジャケット ランバダ他多数
・ガンダムシリーズのカード絵など 多数
他、広告分野や出版分野などで多数のイラストを手がける。

Website: https://illustratortk.wixsite.com/takahirokanie


|受賞者一覧|