日本イラストレーター協会

イラストレーター・オブ・ザ・イヤー2010

2010年に最も活躍された年度賞の受賞者発表です。

 受賞者一覧

イラストレーター・オブ・ザ・イヤーと各部門賞の受賞者です。

作家名
イラストレーター・オブ・ザ・イヤー 2010 つしまひろし
最優秀広告イラスト賞 せきあゆみ
最優秀エディトリアルイラスト賞 小野田裕太
最優秀グッズイラスト賞 該当作品なし
最優秀映像イラスト賞 石津淳子

 審査方法

今回は第11回目の年度賞です。
選考は6名の理事による投票で行いました。
今回は応募者27名の内、応募規定違反が8名いましたので、エントリーできたのは19名でした。
エントリー19名の内、日本イラストレーター協会会員以外が3名でした。
応募規定違反は「作品点数が3点を超えていた」「ファイルサイズが指定より大きかった」などの理由によります。
プロのイラストレーターの最高の賞を決めるコンペで、このような初歩的なミスは、やはりまずいだろうという判断で、少し厳しいとは思いましたが除外させて頂きました。
年度賞はプロのイラストレーターの仕事を評価する賞ですから、まずメジャーな仕事であるということが評価されます。
広告でしたら広告主が一流企業であること、出版でしたら販売数が大きな選考基準になります。
それから、そのイラストが、使用された媒体において、どれくらい重要な役割を果たしているか、ということも考慮されます。
イラストが良くて、売り上げが伸びたと思われるような作品は大きな受賞理由になります。

 部門別エントリー数

広告 24点
エディトリアル 13点
グッズ 4点
映像 10点

部門によってかなりバラつきがあります。
広告が一番激戦区で、グッズが少なかったです。
映像は昨年と比べて、だいぶ増えました。
日本を代表するプロのイラストレーターの賞としては、まだまだ応募が少ないです。
逆に考えますと、応募者が少ない今のうちが受賞の確率も高く、チャンスと言えます。
今後、この賞が社会的にますます認知され、評価される賞に発展していくことが予想されますので、今のうちに受賞しておきますと、将来大きな財産になることが期待できます。
今年1年また頑張っていい仕事をして頂き、年末に素晴らしい作品が集まることを期待しています。

 各部門に対する総評

審査員 レオン佐久間

 広告部門

アドバタイジングにおけるイラストレーションの場合、クライアントの求めるインテンショナルに対し如何にアプローチできるかが重要である。
アートとしてのイラストレーションというより広告媒体での作品は、その紙面がどのようにレイアウトされ社名やテキストがデザインされることで、コンシュマーにコンセプトを如何に効果的にプレゼンテーションできるか、そのための重要なファクターとしてイラストレーションが役割を担っている。
その観点から、作品のテーマに対しての制作意図と制作環境がわかると、もう少し的確な審査ができたのではないかと思う。
特にイラストレーションは個性とスタンダードという二律背反した側面があるので、作家は明確な意図をもって制作されることが肝要ではないかと思う。
広告としてのイラストレーションは社会に必要不可欠なジャンルであり、その意図で作られた作品であればクライアントの大小にかかわらず、多くの作家の参加を期待するものである。

 エディトリアル部門

表紙の装丁におけるイラストレーションと挿絵やカットとはかなり意味合いは異なってくる。
表紙デザインについてはレイアウターの力量が大きくかかわっており、そこに表現されるイラストレーションは購読者の琴線を左右する重要な役割がある。
エディトリアルにおけるイラストレーションは、用途によって様々な違いがある。
表紙イラスト、挿絵挿画、カットなど、
特に書籍関連については、単色での描画を必要とされることも多く、色では表現できないテクニックが求められる。
また専門知識が必要とされる分野のイラストレーションも多く、理解しないまま描かれたイラストには書籍としての価値を消失するようなケースも散見され、描画テクニックのほか専門領域の知識やデータ収集もイラストレーターの求められるところである。
是非、そのような分野や表現のイラストレーターの参加も促したい。

 グッズ部門

KANOTOさんの傘の図柄デザインは評価に値するものである。
しかし、出品者が少ないため賞の表題に相当する審査対象にならず、推薦された方も納得をいただけるものではないと思う。
グッズデザインとグッズイラストレーションについて、デザイン領域とイラスト領域の判別も難しいのかもわからない。
キャラクター作品、キャラクター運用作品、サインデザイン、ロゴデザインそのほかイラストレーターがデザインする作品もある。
デザイン領域におけるイラスト表現もあり、イラストがどこまでかかわれるものか今後の課題である。
当協会がイラストレーターの集まりなので、イラストレーターがデザインするグッズイラスト及びデザインというとらえ方でもいいのではないだろうか。
是非、出品される方は概ねの趣旨のもと、枠にとらわれず多く出品していただき、いい作品なのに審査ができない状況からの改善を図りたいと願う。

 映像部門

ここでは映像作品となっており、映像制作会社やテレビ局に使われたイラストでは審査対象には当てはまらないのではないか。
" 納品された映像作品”と協会では条件付けていることからも、イラストレーションが映像化していることが必要条件であり平面構成の描画作業とは根本的に異なる。
例えばイラストレーターやペインターを使ったCG作品、アニメーション、3Dイラストなど。フォトショップやシェードなどコラージュや画像運用しながらの作品といったカテゴリーに特化することで出品者の出品意図も明確になる。
これからはデータによる作品が主体となり、ドローイング系の作家にとって、その作品の多くが出品対象となるので、特にこの分野は今後に期待したい。